帰化
帰化申請には7つの要件があります。
帰化の条件
帰化の条件①住居条件
帰化申請をする時までに、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。
引き続きとは
引き続きとは、継続して日本に住んでいることとなります。
例えば、留学で2年間日本に住んだ後に、スリランカに帰国をして1年間就労し、また日本に戻り、日本に3年間住んだ場合などはこの引き続きの条件は満たされません。2年+3年間を継続して日本に住んだ場合に住居条件は初めて満たされます。つまり、一度日本での在留資格がなくなり、本国に帰国した場合は、最初の2年間はリセットされることになります。
引き続きについて更に詳しくみていきます。
1年間のうち、連続して(1回の出国で)3カ月以上日本を離れた場合は、引き続きの要件がリセットされる可能性が高い。
長期の海外出張やスリランカの家族の看病などで、1回の出国で3カ月以上に渡り日本を離れている場合は、帰化の一つの条件である住居要件の引き続きが満たされていないと判断される可能性が高くなります。
1回の出国で3カ月以上でなくても、1年のうち合計で150日以上出国をすると、引き続きの条件を満たさない。
1回の出国で3カ月以上でなくても、1年間のうち合計で100日以上出国すると引き続きの要件を満たさない可能性が高いです。例えば、1カ月、1カ月、1カ月、2カ月と1年のうち計4回で150日以上出国したりした場合はアウトとなります。
5年のうち3年以上就労していること
住居条件で上記の出国期間と合わせてもう一つ重要なのが就労期間です。5年のうち3年以上就労していることが必要です。アルバイトではなく、正社員(派遣社員等も含む)として就労の在留資格をもって働くことが条件です。転職はしていても問題ありません。
例えば、留学で5年以上、日本に住んでいても住居要件は満たされません。
この就労期間においては一つ例外があります。10年以上引き続き日本に住んでいる方は、3年以上の就労がなくても1年以上の就労期間があれば大丈夫です。
例えば、留学や家族滞在で9年、就労の在留資格で1年以上就労していれば、要件を満たします。
帰化の条件②能力条件
帰化申請をするためには、20歳以上であることが条件です。
但し、未成年者の方がご両親と一緒に帰化する場合は、20歳に達していなくても帰化申請をすることが可能です。
帰化の条件③素行条件
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。
納税状況
各種税金をきちんと納税していることが必要です。納税の有無については、帰化申請する本人だけでなく、同居の家族全員分が見られますので注意が必要です。会社員の方で社保に入っており、給料から天引きされている方は問題ありません。会社員の方でもご自身で住民税の支払い義務がある方もいらっしゃいますので、滞納がないかチェックを行いましょう。また最近多いのは、株や仮想通貨等で副収入を得ている方がいらっしゃいます。利益の額によっては、ご自身で確定申告を行い、納税の義務が発生しますので、株などをお持ちの方はこの点も確認を行いましょう。
経営者の方は、個人の税金だけでなく、会社の税金もしっかり納税を行っていることが必要です。
年金の支払い
税金だけでなく、年金の支払いも帰化申請においては確認をされます。年金の支払いについては、直近1年分が必要です。会社員の方で厚生年金に加入しており、給料から天引きされている方は問題ありません。国民年金の方で、ご自身での支払い義務がある方は、直近1年間で支払っていない月がないか確認を行いましょう。もし年金を支払っていなければ、帰化申請前の直近1年分を支払ってから帰化申請に臨みます。
交通違反
帰化申請前の過去5年間がチェックされます。目安としては5回以上過去5年以内に交通違反があると、素行条件に引っかかってきます。
この交通違反は軽微なものを想定しています。例えば、駐車違反や一方通行の違反などです。50キロ超のスピード違反や飲酒運転については、相当期間が過ぎないと不許可になるリスクが非常に高くなります。
帰化の条件④生計条件
日本で生活をしていくにあたり、生計を維持することができることが条件です。この生計条件は生計をともにする同居のご家族を含めて判断されます。つまり、帰化申請人に十分な収入がなくても、帰化申請人と同居しているご家族(配偶者や成人した子ども)に十分な収入があり、世帯として生計を維持することができれば問題ありません。貯金額はいくら必要ですかという質問も多く寄せられますが、貯金額の多さは、あまり関係ないと思って頂いて問題ありません。それよりも毎月安定した収入があることの方が圧倒的に重要です。また借入(住宅ローンや自動車ローン)がある方は、当該借入をきちんと返せるだけの安定した収入があるかも確認が必要です。その他の借り入れについてもしっかりと返済計画が立っていれば問題ありません。
収入の目安としては、手取りで月18万以上あれば問題ありません。扶養者がいる場合、18万円プラスαで考えていきます。世帯の収入でご家族がしっかりと生活をしていくことができるか否かが重要です。
帰化の条件⑤重国籍防止条件
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります。
日本は二重国籍が認められておりませんので、日本国籍取得後に本国の国籍が離脱されなければなりません。
帰化の条件⑥思想条件
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。つまり、テロリストや犯罪を企んでいる方には、日本国籍は取得できません。
帰化の条件⑦日本語能力
帰化が許可されるためには、一定以上の日本語能力が必要です。すべての方に日本語能力テストがあるわけではないですが、帰化の面談などで担当官に日本語能力に不安を持たれた場合にテストが課されることが多いです。日本語能力の目安としては、日本人の小学校3年生程度の日本語能力です。日本語能力(N3レベル)。
まずは、最寄りの法務局に相談して、必要な書類を明確にし、同時に行政書士などの専門家に相談するのがいいと思います。もちろん、行政書士などの専門家が相談の窓口に同行するとさらに無駄なく手続きが進められると思います。
国籍に関する相談窓口一覧(帰化、国籍取得、重国籍など)
帰化(きか)、国籍取得(こくせきしゅとく)、国籍選択(こくせきせんたく)など、国籍関係の申請及び届出に関する相談窓口は、お住まいを管轄する以下の法務局・地方法務局(支局を含む。)です。
連絡先は、このページで案内しているとおりですので、来庁される前に必ずお電話ください(相談は予約制です。)。