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日本国内に居住する資格の1つである「定住者」は、日系人や難民等、特別な理由がある人に認められる在留資格です。他の身分系在留資格との決定的な違いは、在留期間の更新手続きが必要になる点です。標準処理日数は1か月から3か月。

 

在留資格「定住者」とは、自分から進んで住まいや活動内容を選ぶわけではなく、日本で安定した生活を送るためにやむなく手続きする場合を想定した資格です。
審査では「告示定住者」と「告示外定住者」に分かれており、それぞれ簡単に言えば、次のような人が該当します。

▼告示定住者
難民として新たに入国する人。又はほとんど日本人として暮らすものの国籍は外国にある人。

▼告示外定住者
難民として一定期間在留した人。又は家族構成が変わって在留資格の変更が必要になった外国人。

〇告示定住者

告示定住者とは、在留資格「定住者」を取得できる人として法務省に指定されている場合の資格です。2021年10月28日以降は、以下のパターンに分類されています。

1号 指定国に一時滞在し、UNHCRが保護の必要性を認めて日本国に推薦した者
3号・4号 日本人の子、日系人2世~3世
5号 「日本人の配偶者等」で在留する日本人の子、期間1年以上が認められた定住者、日系人の配偶者等
6号 日本人や居住資格を持つ外国人に扶養される子
7号 日本人や居住資格を持つ外国人に扶養される6歳未満の養子
8号 戦前の混乱で中国に残留した日本人、およびその親族

具体的な家族のケースを見てみましょう。

日系人の告示定住者に当たる場合の具体例・家系図

〇告示外定住者

告示外定住とは、これまで「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」で在留していたものの、現にある資格に該当しなくなる事情が急に発生した場合の資格です。下記のようなケースでは、法務省の告示によらず、個別の審査で許可が下ります。

l 日本人等と離婚または死別した場合
l 夫婦仲の悪化が原因で別居する場合
l 日本人の子を養っている場合
l 未成年者が養親との関係を解消する場合
l 難民に認定されて10年経った場合
l 難民認定が受けられず、在留資格「特定活動」で期間1年の決定を受けていた場合

永住者と定住者の違い

永住者と定住者との唯一の違いは、決定される在留期間です。
在留資格「永住者」は、原則10年間に渡る在留状況を審査する代わりに、認定されると無期限で日本に滞在できます。取消し事由に注意して生活し、在留期限そのものにがなく、7年おきに在留カードを更新するだけでOK一方の定住者は、緊急性の高さから短期間の在留でも許可してもらえる変わりに、原則5年・3年・1年・6か月のいずれかの期間しか認められません。素行に注意しつつ、期限前に更新する必要ります。

これまで「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」で在留していたものが、「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例は以下の通りです。おおむね、婚姻の実態が明確な場合に認められ、疑わしき要素を感じ取られる場合に認められない傾向があります。(法務省入国管理局のホームページより

1 「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例

性別 本邦
在留期間
前配偶者  前配偶者との婚姻期間 死別・
離婚の別
前配偶者との間の
実子の有無
特記事項
女性 約6年 日本人(男性)  約6年6か月 離婚 日本人実子 ・ 親権者は申請人
・ 日本人実子の監護・養育実績あり
・ 訪問介護員として一定の収入あり
女性 約5年1か月 日本人
(男性)
約3年 事実上の
破綻
 無 ・ 前配偶者による家庭内暴力が原因で婚姻関係が事実上破綻
・ 離婚手続は具体的に執られていない状況にあったものの,現に別居し双方が離婚の意思を明確に示していた
・ 看護助手として一定の収入あり
男性 約13年8か月 特別永住者
(女性)
約6年1か月 死別 ・金属溶接業経営を継続する必要あり
・ 金属溶接業経営により一定の収入あり
女性 約8年1か月 日本人
(男性)
約4年5か月 離婚 日本人実子 ・ 前配偶者による家庭内暴力が原因で離婚
・ 前配偶者による家庭内暴力により外傷後ストレス障害を発症
・ 親権者は申請人
・ 日本人実子の監護・養育実績あり
女性 約10年5か月 日本人
(男性)
約11年5か月 事実上の
破綻
・ 配偶者による家庭内暴力が原因で通算8年以上別居(同居期間は通算約2年)
・ 配偶者が申請人との連絡を拒否
・ 離婚手続を進めるため弁護士に相談
女性 約8年8か月 永住者
(男性)
約6年 事実上の
破綻
外国人(永住者)
実子
・ 配偶者による家庭内暴力が原因で3年以上別居
・ 子の親権に争いがあり離婚調停不成立,離婚訴訟準備中
男性 約8年3か月 日本人
(女性)
 約7年9か月 離婚 日本人実子 ・ 日本人実子に対して毎月3万円の養育費の支払いを継続
・ 会社員として一定の収入あり
・ 親権者は前配偶者

 

2 「定住者」への在留資格変更許可が認められなかった事例

性別 本邦

在留期間

前配偶者 前配偶者との
婚姻期間
死別・
離婚の別
前配偶者との間の
実子の有無
事案の概要
男性 約4年10か月 日本人
(女性)
約3年 離婚 日本人実子  ・ 詐欺及び傷害の罪により有罪判決
・ 親権者は前配偶者
男性 約4年1か月 永住者
(女性)
約3年11か月 事実上の
破綻
 ・ 単身で約1年9か月にわたり本邦外で滞在
女性 約4年1か月 日本人
(男性)
約3年10か月  死亡  無 ・ 単身で約1年6か月にわたり本邦外で滞在
・ 本邦在留中も前配偶者と別居し風俗店で稼働
女性 約3年4か月 日本人
(男性)
約1年11か月 離婚 ・ 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てた2回目の離婚
・ 初回の離婚時に前配偶者による家庭内暴力を受けていたとして保護を求めていたが,間もなく前配偶者と再婚
・ 前配偶者との婚姻期間は離再婚を繰り返していた時期を含め約1年11か月
女性 約4か月 日本人
(男性)
約3か月 離婚  ・ 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てて申請
・ 婚姻同居期間は3か月未満
女性 約3年3か月 日本人
(男性)
約2年1か月 離婚 ・ 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てて申請
・ 日本語学校に通うとして配偶者と別居したが,風俗店に在籍していたことが確認されたもの
・ 婚姻の実体があったといえるのは,約1年3か月

 

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