留学生のオーバーステイ
1)日本の教育機関に留学中の外国人の中には、やむを得ない事情で在籍している学校を辞めることもあるでしょう。
もし退学をしてしまったら「在留資格はどうなるの?」「手続きは必要?」「日本に滞在し続けられる?」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退学をしたときの在留資格と手続きについて解説します。ぜひ、最後までお読みください。
在留資格「留学」で退学したらどうなる?
外国人の方が日本へ留学するには、「留学」の在留資格が必要です。何らかの事情で在籍している学校を退学すると、在留資格はどうなるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
在留資格を失う
退学をすると、「留学」の在留資格を失います。「留学」の在留資格は、日本の教育機関で教育を受ける活動をおこなう外国人に与えられる資格です。したがって、退学をしてしまうと「留学」の在留資格の理由がなくなってしまうのです。
余った在留期間は消える
退学をすると、「留学」の在留資格の理由がなくなるので、あまった在留期間も消えます。在留期間は、日本に残ってもよい期間ではありません。あまった在留期間で、日本に滞在し続けないように気を付けてください。
日本でのアルバイトができない
資格外活動許可を得ていたとしても、退学したあとは、アルバイトができません。例えば、在留期間が9月までだったとして、3月に退学した場合は、在留期間が6カ月間残ります。しかし、残った在留期間でアルバイトをするのは違法です。不法就労となるので注意してください。
速やかに出国(帰国)する必要がある
退学をすると、日本に滞在する理由を失います。速やかに日本を出国しなければいけません。14日以内に出入国在留管理局へ「活動期間に関する届出」を提出しましょう。出国の際には、空港で在留カードの返納をしてください。
退学したあとも日本に滞在し続けると、『在留資格取消』の対象です。悪質な場合は、在留資格が取り消されるだけではなく、強制退去の処分となる可能性もあります。強制退去となると、5年間日本へ入国できなくなってしまうので注意してください。
資格喪失後に3ヶ月以上滞在すると在留資格の取り消しとなる
在留資格によって認められた活動を、継続して3カ月以上していないことがわかると、在留資格が取り消されてしまいます。「留学」の在留資格は、日本の教育機関で教育を受けることが目的です。退学をすると「留学」の活動をしていないことになり、3カ月後に在留資格が取り消されてしまいます。
日本に滞在し続けたいのであれば、3カ月以内に「留学」から適切な在留資格に変更をしましょう。
出入国在留管理庁への届出が必要
退学をした場合は、出入国在留管理局への届出が必要です。詳しく見ていきましょう。
退学後に14日以内
退学したあとは、14日以内に出入国在留管理局で「活動期間に関する届出」を提出してください。在留期間が残っていても、届出を提出したあとは、速やかに出国しなければいけません。
離脱の届出が必要
在籍している学校の退学手続きを終えたら、出入国在留管理局に「活動期間に関する届出」を提出してください。
「活動期間に関する届出」は、
・離脱(所属機関から離脱)
・移籍(所属機関の移籍)
・離脱・移籍(所属機関からの移籍と離脱を同時におこなう)
があります。
退学をしたら、離脱の届出を提出します。書類は、出入国在留管理庁のホームページでダウンロードができます。活動期間に関する届出(離脱)|出入国在留管理庁
インターネットや郵送でも届出は可能
届出は出入国在留管理局の窓口でおこなう他に、インターネット・郵送でもできます。
届出の方法を以下にまとめました。ご自身に合った方法で届け出ましょう。
①インターネット
出入国在留管理庁の電子届出システムを利用して、インターネットで届出ができます。オンラインなので、24時間・365日いつでも窓口に行かずに届出ができます。電子届出システム|出入国在留管理庁
②郵送
郵送の場合は、以下の住所に届出書を郵送してください。
〒160ー160-0004
東京都新宿区四谷1丁目6番1号四谷タワー14階
東京出入国在留管理局在留管理情報部門届出受付担当
③窓口
居住している地域を管轄する地方出入国在留管理局の窓口に、届出書を提出してください。在留カードの提示が求められるので、忘れないようにしましょう。
退学後も日本に滞在したい場合はビザの種類を変える
退学をすると、留学ビザは失効します。退学したあとも日本に滞在したい場合は、在留資格を変更し、留学ビザから別の種類のビザに変えなければいけません。具体的には、「短期滞在」「特定活動」「就労」「家族滞在」「日本人の配偶者等」などがあります。ご自身に合った在留資格を確認し、変更手続きをしてください。
在留資格を変更するには、出入国在留管理局で「在留資格変更許可申請」の手続きをします。必ず、退学してから3カ月以内に手続きをしてください。在留資格を変更せずに、退学してから3カ月を過ぎると、在留資格が取り消されるので注意しましょう。
2)撤去強制手続と出国命令制度は、いずれも国外退去であるという点は同じですが、次のような違いがあります。
退去強制手続 | 出国命令制度 |
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入管の摘発等 ↓ 入管に身柄を収容 ↓ 強制送還 ↓ 送還後、5年間は入国不可 |
外国人自ら出頭 ↓ 身柄の収容はなし ↓ 出国 ↓ 出国後、1年間は入国不可 |
退去強制手続では国外退去まで入管に身柄を収容されますが、出国命令制度では収容されることがありません。また、日本への入国禁止期間も、出国命令制度であれば最短の1年間になります。
ルールを違反した外国人に対しては通常は退去強制手続がとられますが、後述の条件を満たす場合に特例として出国命令制度がとられます。